よき人々の歴史

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チトー 1892-1980

Josip Broz Tito

■チトーのプロフィール

ヨシップ・ブローズ・チトーは、ユーゴスラビア初代大統領(その後終身大統領)。
第2次大戦中にゲリラ部隊のパルチザンを率いてドイツ軍と戦い、勝利した。大戦後には宗教や民族の違いから分裂していたバルカン半島の諸民族を、歴史上初めてひとつにまとめ、ユーゴスラビアを建国した。
戦後の冷戦期には、米ソのどちらにもつかず、独自の路線を歩んだ。第3の非同盟諸国の指導的役割を果たしたチトーは、ユーゴスラビアだけでなく、国際社会国においても諸民族の平等・共栄を実現しようとしたのである。
激動の時代の中、チトーはどんな困難な状況になっても不平不満を決して言わなかった。「現実の状況は、人間の及ばない大きな力によってもたらされる。それが時流、時勢である」と、現実を受け入れることから思考し、行動した。
チトーは、「今このときを大切に精一杯生きる。その積み重ねこそが現実をよい未来へ変えていく」と考え、自分そして理想の実現を信じ通した。その結果、本当に自らの理想を一つひとつ実現していったのである。
『よき人々の歴史』より)

■チトーの略歴

1892年 クロアチア・クムローウェチ村で生まれる。
1915年 ロシア軍との戦闘で重傷を負い、捕虜に。
1917年 捕虜解放。国際赤衛軍に参加。
1920年 ユーゴスラビアに帰国。ユーゴスラビア共産党入党。
1928年 独裁制成立により逮捕。五年間の禁固刑に。
1934年 ユーゴスラビア共産党中央委員会政治局員選出。
1935年 モスクワでコミンテルンのバルカン書記局で働く。
1937年 チトーを書記とする臨時中央委員会設置。
1941年 ドイツがユーゴスラビア占領。パルチザン部隊創設。
1945年 ユーゴスラビア連邦人民共和国建国。連合政権の首班に就任。
1948年 コミンフォルムがユーゴスラビアを除名。
1953年 ユーゴスラビア初代大統領に選出。
1961年 第一回非同盟諸国首脳会議を主催。
1974年 終身大統領に就任。
1980年 87歳で死去。

■チトーの考えと結果

(考え)諸民族が平等・共栄する国家を作る。
(結果)存命中、ユーゴスラビアを建国して史上初めてバルカン半島を統一した。

■チトーのネットワーク

○心動かされた人々・系譜

クラウセヴィッツ、ベートーベン、チャイコフスキー、ドラクロワ、ドラッカー広瀬正ベーレンスビスマルクナポレオン

○同時代の関連する人々

チャーチル、ネール、ナセル、スターリン、フルシチョフ、

○才能

欧州各地で多くの技能を学び、スラブ語、ドイツ語、チェコ語、ロシア語を修得。フランス語、イタリア語も聞いて理解し、文章を読めるほどだった。
手当たり次第学びたいという情熱。どんな分野の本を読み、文学、心理学、経済学、哲学そして軍事学など学ぶ。徒弟時代にはダンスやレスリング、剣道などのスポーツにも興味を持った。
また世界中から意見が聞けると、数多くの外国人と会見した。

○生活

あきらめることを知らない生活。捕虜になって失敗しようとも何度も脱走を企てて、最終的に成功してしまう。中途で立ち止まることが一番悪いと思っていた。
不平不満はない生活。不平不満を言って過ごすのは時間の浪費と考えていた。
休暇期間でも本を読んだり、猟狩をしたりスポーツをしたりと常に何かをしていた。

■チトーの参考文献

ウラジミール・デディエ著、高橋正雄訳『チトーは語る』(新時代社)
(チトーが自らの生涯について語ったものをまとめた自叙伝的資料)
古書―amazon・日本の古本屋

恒文社編『チトー ―英雄の生涯―』(恒文社)
(写真を数多く使ってチトーの業績を語る小冊子)
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阿部祐太著『よき人々の歴史』(阿部出版)
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