よき人々の歴史

  • 登場人物
  • 著者紹介
  • トップページへ戻る

ベーレンス 1868-1940

Peter Behrens

■ベーレンスのプロフィール

ペーター・べーレンスは、20世紀初頭のドイツで活躍した近代のトータル・デザイナーの先駆け。
電気製品などのインダストリアル・デザインをはじめ、広告などのグラフィック・デザイン、インテリア、家具のデザイン、そして建築設計まで手がけた。
また教育者でもあったべーレンスは、産業美術の学校で自ら教壇に立ち、20世紀を代表する多くのデザイナーや建築家に影響を与えた。
機械技術が急速に発展する時代の中で、べーレンスが生涯貫いたのは、「古典に学ぶ」ことだった。「古典には、時代を超えて、あらゆるものの本質がある。常に古典に立ちかえって学ぶことが重要である。我々は文明の進歩を享受するだけでなく、精神生活の進歩も達成すべきである」と考えたのである。
べーレンスの価値観は、「現代を生きるということは、同時代の人々とだけでなく、過去の人々と共に歩んでいるということだ」という言葉にあらわれている。
『よき人々の歴史』より)

■べーレンスの略歴

1868年 ドイツ・ハンブルクに生まれる。
1897年 ミュンヘンで手工芸芸術共同工房設立。
1898年 「キス」発表。
1899年 ダルムシュタット芸術家村の創設メンバーに。
1901年 ダルムシュタット芸術家村展覧会で自宅を出展。
1902年 バイエルン州立工芸美術館付属工芸専門コースの監督。
1903年 デュッセルドルフ工芸学校校長就任。
1907年 AEG芸術顧問就任。ドイツ工作連盟設立に参加。
1908年 ドイツ造船展でパビリオン設計。
1909年 AEGタービン工場完成。
1914年 AEGと契約終了。ドイツ工作連盟で規格化論争。
1921年 デュッセルドルフ・アカデミーに招聘。
1922年 ウィーン・アカデミーの建築専門学校教授就任。
1936年 プロイセン芸術アカデミーの建築主任就任。
1940年 72歳で死去。

■べーレンスの考えと結果

(考え)進歩ある精神生活を営めるように、伝統を新しい時代に沿ってデザインする。
(結果)古い家具に囲まれた家庭でも、新時代の機械製品はすぐに溶けこみ、定着した。

■べーレンスのネットワーク

○心動かされた人々・系譜

シンケル、ゲーテ、嘉納治五郎テイラーシュレンマー

○同時代の関連する人々

グロピウス、ル・コルビジェ、ミース・ファン・デル・ローエ、ヴァン・デ・ヴェルデ、ムテジウス、ワルター・ラーテナウ

○才能

すべて結びつける才能。版画、装飾、インテリア、グラフィック、建築など広範な分野で業績を残した。

○生活

先人を尊重する生活。偏見を持つことなく、先人の知恵を現在に活かそうとした。
精神の豊かさを大切にする生活。物質的進歩だけでなく、精神の進歩が重要だとした。

■べーレンスの参考文献

豊田市美術館編『ペーター・べーレンス』(豊田市美術館)
(1999年に行われた展覧会図録。べーレンスについての貴重な日本語資料。)
新品―豊田市美術館
古書―日本の古本屋

藪亨著『近代デザイン史―ヴィクトリア朝初期からバウハウスまで―』(丸善)
(近代産業とデザインとの関係で、べーレンスについて詳細に語られている。)
新品―amazonその他のオンライン書店を調べる
古書―日本の古本屋・その他のオンライン書店を調べる
実店舗―その他の書店を調べる

ピーター・ゲイ著、川西進・岡田岑雄訳『芸術を生み出すもの 歴史における原因について:マネ、グロピウス、モンドリアン』(ミネルヴァ書房)
(グロピウスに多大な影響を与えた恩師として描かれている。)
古書―amazon

海野弘著『モダン・デザイン全史』(美術出版社)
(モダン・デザインの起源として、デザイン史における位置づけが示されている。)
新品―amazonその他のオンライン書店を調べる
古書―日本の古本屋・その他のオンライン書店を調べる
実店舗―その他の書店を調べる

阿部祐太著『よき人々の歴史』(阿部出版)
新品―amazon阿部出版その他のオンライン書店を調べる

■べーレンスの作品・デザイン

木版画《キス》
AEGの商標、グラフィック
AEGタービン工場(建築)