広瀬正（本名:広瀬祥吉）は、約10年間という短い期間に、SF小説の名作を次々と生み出した作家。
中でも『マイナス・ゼロ』、『ツィス』、『エロス』は、相次いで直木賞候補に選ばれ、司馬遼太郎や星新一らが絶賛した。
「過去の先祖・歴史によって現在の私が存在する。過去によって生かされているのだから、過去は変えられないものである。しかし、未来は変えられる。これから起こる未来は、現在の自分の行動しだいで良くも悪くもなるからだ。現在があるから未来の自分が存在する。過去も未来もすべて現在につながる」、これが時間を探求し続けた広瀬正が達した認識だった。
我々は過去を生きるのでも未来を生きるのでもない。今このときを生きている。今を生きるとはどういうことか、広瀬正は作品を通じて我々に問いかけている。
（『よき人々の歴史』より）

1924年　東京・京橋に生まれる。
1952年　「広瀬正とスカイトーンズ」結成。
1960年　「広瀬正とスカイトーンズ」解散。
1961年　「殺そうとした」で作家デビュー。「宇宙塵」に参加。
「もの」、「Once Upon A Time Machine」などを次々に発表。
1962年　「タイム・セッション」発表。
1965年　『マイナス・ゼロ』連載開始。連載終了後、作家活動休止。
1970年　作家活動再開。『マイナス・ゼロ』単行本化。第64回直木賞候補に。
1971年　『ツィス』、『エロス』刊行。第65回、66回直木賞候補に。
1972年　47歳で急死。『鏡の国のアリス』、『Ｔ型フォード殺人事件』刊行。
1973年　『鏡の国のアリス』で第四回星雲賞受賞。

（考え）常に現在を基点とする。過去を現在に再生する。
（結果）作品を通じて、現在において過去を体験できる。

星新一、ヴェルヌ、ドラッカー、チトー

星新一、小松左京、筒井康隆、司馬遼太郎

プロのジャズプレーヤー。テナーサックス奏者としてバンドを結成。あるジャズ雑誌のファン投票で日本一に選ばれるほどだった。ほかにもハーモニカやバイオリンなどさまざまな楽器に挑戦した。
クラシック・カーのモデル製作第一人者。実物の十二分の一のモデルを、一から制作していた。この分野では世界的な作家で、作品には国産自動車並みの値段がつけられた。国内だけでなく、ヨーロッパにも輸出していた。

何ごとも綿密に探求する生活。ミニチュアモデル制作と同じように、作品のテーマである時間も綿密に研究し、「『時の門』を開く」というタイム・パラドックスについての論文を書いている。

阿部祐太著『よき人々の歴史』（阿部出版）
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広瀬正著『マイナス・ゼロ』（集英社文庫）
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広瀬正著『タイムマシンのつくり方』（集英社文庫）
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広瀬正著『ツィス』（集英社文庫）
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広瀬正著『エロス　－もう一つの過去』（集英社文庫）
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広瀬正著『鏡の国のアリス』（集英社文庫）
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広瀬正著『T型フォード殺人事件』（集英社文庫）
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