紀貫之は、日本語文化の形成に大きな役割を果たした平安時代の歌人。
『古今和歌集』では、漢字の真名序と併置して、仮名による仮名序を作り、仮名文化を立ち上げた。『土佐日記』では、本来日記は漢文であるところを、和文の仮名で書き、さらに女性として擬装を行った。日本人が、日本の文字たる仮名文字でいかに表現できるかを試みたと言える。
紀貫之は、「言葉は単なる記号ではなく、心の働きをあらわすもの」と捉えていた。歌も文章も、核となるのは心である。しかもその心は言葉に載って他人の心に伝わる。「普段何気なく使っている言葉には、人と人、心と心をつなぐ目に見えない大きな力がある」、そう紀貫之は考えていた。それは、日本古来から受け継がれる「言霊(ことだま)」という考えそのものだった。
(『よき人々の歴史』より)
872年 京都にて紀望行の子として生まれる。
893年 自作の歌が『新撰万葉集』に採用される。
898年 紀貫之を中心とした文学グループ形成。
901年 御書所領に就任。
905年 『古今和歌集』編纂。仮名序執筆。
910年 少内記に就任。
911年 大内記に昇進。
917年 従五位下を授けられる。
930年 土佐守に任官。『新撰和歌』を編む。
935年 土佐から帰京。『土佐日記』を記す。
940年 玄蕃頭に就任。
943年 従五位上を授けられる。
945年 木工権頭に。74歳で死去。
(考え)言葉によって心の働きを表現し、時代を超えて心情を共有する。
(結果)現在においても歌を通じて、平安時代の人々の心を感ずることができる。
紀友則、壬生忠峯、凡河内躬恒、宇多法皇、醍醐天皇、藤原兼輔、藤原定方、敦慶親王
書の名手。当時は宮廷で屏風歌作家がもてはやされた時代であったので、高く評価されていた。
ユーモアのある明るい生活。いつでも肯定し、笑い飛ばしてしまうような明るさがあった。
目崎徳衛著『紀貫之』(吉川弘文館)
(紀貫之の生涯についての詳細が書かれている。)
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大岡信著『日本詩人選7 紀貫之』(筑摩書房)
(正岡子規の評論のよる従来の印象とは異なる一面を描き出そうとした評論。)
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長谷川政春著『新鋭研究叢書2 紀貫之論』(有精堂出版)
(常に相手に感興を得ようとした基因について研究した紀貫之論)
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松岡正剛著『日本という方法 おもかげ・うつろいの文化』(日本放送出版協会)
(日本語文化において紀貫之が果たした役割が述べられている。)
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阿部祐太著『よき人々の歴史』(阿部出版)
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紀貫之著、佐伯梅友校注『古今和歌集』(岩波書店)
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紀貫之著、西山秀人編『土佐日記(全)』(角川書店)
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