よき人々の系譜

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ブランクーシ 1876-1957

Constantin Brancusi

■ブランクーシのプロフィール

コンスタンティン・ブランクーシはルーマニア人。20世紀を代表する彫刻家である。
代表作としては《接吻》と《空間の鳥》両シリーズなどがある。現在、パリのポンピドゥー・センターで再現された彼のアトリエで作品を見ることができる。彫刻は大理石やブロンズなどであるが、素材感を消してしまうまで磨き上げられている。そしてフォルムは究極まで単純化されている。
ブランクーシは、それまでの具象彫刻とは全く異なった作品を生み出し、現代彫刻の祖とされる。その後の多くのアーティストにも大きな影響を与えた。しかし、彼自身は「自分の作品は抽象ではなく本質を表現した具象である」と語っている。周囲の解釈とは正反対なのである。そうした解釈も、彼にとって不要なものであり、削ぎ落とされるべきものだった。
『よき人々の系譜』より)

■ブランクーシの略歴

1876年 ルーマニアの農村ホビツァで生まれる。
1894年 クライヨヴァ工芸学校に入学。
1898年 ブカレスト国立美術学校入学。
1904年 パリに出る。
1907年 ロダンの弟子になるが3ヵ月で退く。《接吻》シリーズ、《祈る人》制作。
1913年 ニューヨークでの国際近代美術展「アーモリー・ショウ」で話題に。
1920年 サロン・デ・ザンデパンダンで《王妃X》が警察の命令で撤去される。
1923年 《空間の鳥》シリーズ制作開始。
1926年 アメリカの税関で《空間の鳥》が芸術作品と認定されず。訴訟問題に発展。
1928年 《空間の鳥》を巡る裁判に勝訴。
1938年 ルーマニア・トゥルグ=ジェにモニュメント制作。
1952年 フランス国民になる。
1956年 ブカレスト美術館で、ヨーロッパで初の個展開催。
1957年 81歳で死去。

■ブランクーシの考えと結果

(考え)作者の形跡を少しも残さないことで、本質が表現される。
(結果)解釈などいらず、大人でも子供でも作品を体験することでただ美しいと感じる。

■ブランクーシのネットワーク

○心動かされた人々・系譜

ソクラテス、プラトン、ミラレパ、道元ヤスパースマティスミレー

○同時代の関連する人々

ロダン、フェルナンド・レジェ、マルセル・デュシャン、マティス、ピカソ、モディリアーニ、イサム・ノグチ、ペギー・グッゲンハイム

○生活

パリの仙人のように伝説化しているが、実際は友人と交流もするし、ゴルフにも行く。わざと農民のような格好をして贅沢品を注文したりするなどユーモアを解す人物だった。

■ブランクーシの参考文献

ラドゥ・ヴァリア(中原佑介監修、小倉正史・近藤幸夫訳)『ブランクーシ作品集』(リブロポート、1994)
(著者はブランクーシを神秘主義と結びつけようとする傾向があるが、掲載作品数も多く貴重な資料である)
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近藤幸夫「ブランクーシ再考(1)―ブランクーシ像の成立を巡る言説」(『国立近代美術館研究紀要』5号、1996)
(ブランクーシ研究の第一人者によるブランクーシ研究史)
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末永照和監修、近藤幸夫他著『増補新装カラー版20世紀の美術』(美術出版社、2013)
(20世紀の彫刻におけるブランクーシの位置づけを知ることができる)
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エリック・シェインズ(中原佑介・水沢勉訳)『コンスタンチン・ブランクーシ(モダン・マスターズ・シリーズ)』(美術出版社、1991)
(ブランクーシの入門書。プラトン主義から見る記述もある)
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阿部祐太著『よき人々の系譜』(阿部出版)
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■ブランクーシの作品

《接吻》シリーズ
《空間の鳥》シリーズ
《王妃X》
《無限柱》
トゥルグ=ジェ(ルーマニア)のモニュメント

パリのポンピドゥー・センターに、ブランクーシのアトリエが移築され常設展示されている。