オットー・ファン・ビスマルクは、ドイツ統一とヨーロッパの安全保障体制を築いたドイツの宰相である。
プロイセン王国首相としてドイツを統一したビスマルクは、その後、ドイツ帝国初代首相として約二十年に渡って活躍した。この間、数々のヨーロッパ列強各国の同盟や協定を成立させて、複雑な安全保障体制を築いた。その結果、ヨーロッパは半世紀近く平和な時代が続くことになった。
ビスマルクは、武力でもってドイツを統一し、ヨーロッパの覇権を握ったことから、”鉄血宰相”と呼ばれている。
しかし、ビスマルクの一般的イメージである「強烈な指導力と武力重視のパワーのある政治家」というのは果たして本当の姿であろうか。実際はそうではなかったのではないかというのが、この項の再評価の視点である。ビスマルクは、平和の維持に対して強烈な責任感を持った人物だったのではないだろうか。
(『よき人々の歴史』より)
1815年 ドイツ・ベルリン北西部シェーンハウゼンに生まれる。
1862年 プロイセン王国首相兼外相就任。
1866年 普墺戦争に勝利。
1867年 北ドイツ連邦首相就任。
1871年 普仏戦争に勝利。ドイツ帝国初代宰相就任。
1872年 独・墺・露の三帝協商成立。
1878年 ベルリン会議主催。
1881年 独・墺・露の三帝同盟成立。
1882年 独・墺・伊の三国同盟成立。
1887年 独・露の再保障条約締結。
1890年 ドイツ帝国首相辞任。
1898年 83歳で死去。
(考え)自分だけがよければよいのではなく、周りがよくなることで初めて自分もよくなる。
(結果)半世紀にわたるヨーロッパの平和状態を創出。
モルトケ、ゼークト、伊藤博文、ミレー
語学の才能があり、英語・ラテン語・フランス語も習得。
名文家であり、シェークスピア、シラー、新約全書からよく引用した。
フェンシングの名手。学生時代は頻繁に決闘していた。
自然を愛した生活。自然の中の田舎生活に憧れがあった。森林を散策し、樹木に親しんだ。自宅の庭には日本など世界各地の松があった。
必要な分だけの簡素な生活。ある外国人記者は家の中を見て「スパルタ式の簡素に類す」と称した。
信夫淳平著『ビスマルク傳』(改造社)
(戦前の伝記です。人間ビスマルクの生涯を理解しやすく簡潔にまとめている。)
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嘉納邦光著『ビスマルク』(清水書院)
(政治家ビスマルクの思想と生涯を辿っている。)
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中山治一編『世界の歴史 13』(中央公論社)
(国際政治の歴史から見たビスマルクについて、事実を積み重ねて検証している。)
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ゼークト著、篠田英雄訳『一軍人の思想』(岩波書店)
(同時代を生きたゼークトからみた率直なビスマルク像が描かれている。)
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ゼークト著、齋藤榮治訳『モルトケ』(岩波書店)
(モルトケとの対比で、一部ビスマルクが出てくる。)
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阿部祐太著『よき人々の歴史』(阿部出版)
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