世阿弥は、室町幕府の将軍、足利義満や足利義教に仕え、今日の能を確立した能役者・能作家。
世阿弥は、「能は、人の心を愉快にし、感動を与え、幸せをもたらすもの」ととらえ、そのために能の演者は稽古を積むべきとした。
著書『風姿花伝』にある「秘すれば花」という言葉は、よく知られているが、間違って解釈されることも多い。世阿弥はいう。「人はことばですべてを伝えることはできない。こころからこころへ伝わるものこそが花である。そして、それはこころの芯から発するものである」と。
世阿弥はどのように考えて、能を追求していったのであろうか。
(『よき人々の系譜』より)
1336年 京都で観阿弥の子として生まれる。
1374年 将軍足利義満の前で観阿弥・世阿弥が能を演ずる。
以後将軍の寵愛を受ける。
1384年 観阿弥の死去により観世座大夫を継ぐ。
1400年 『風姿花伝』執筆。
1408年 将軍足利義満死去。
1420年 『至花道』執筆。
1422年 出家。観世座大夫を息子の元雅に譲る。
1424年 『花鏡』執筆。
1429年 将軍足利義教が世阿弥父子の仏洞御所における演能を禁止。
1432年 息子の元雅死去。観阿弥・世阿弥の血筋が途絶える。
1434年 佐渡に流される。
1436年 『金島書』執筆。
1443年 81歳で死去。
(考え)常に人々をどうしたら喜ばせられるかと、舞台の上ばかりでなく、
日常のことにも心を配る。
(結果)時代を超えて多くの人々を喜ばせる能の確立。
観阿弥、元雅、足利義満、足利義教、増阿弥、音阿弥
たとえ冷遇されても明るく、島流しにあってもその状況を楽しもうとした。
白洲正子『世阿弥』(講談社、1996)
(能を嗜んでいる著者だから理解できる世阿弥についての評伝)
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石井倫子『能・狂言の基礎知識』(角川学芸出版、2009)
(能の用語など世阿弥の確立した能を知る上で参考になる)
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折口信夫『死者の書・身毒丸』(中央公論新社、1999)
(死者の書は世阿弥の「当麻」「雲雀山」のモデルになった中将姫の物語)
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阿部祐太著『よき人々の系譜』(阿部出版)
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世阿弥(野上豊一郎・西尾実校訂)『風姿花伝』(岩波書店、1958)
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世阿弥(小西甚一編訳)『世阿弥能楽論集』(たちばな出版、2004)
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能勢朝次『世阿弥十六部集評釈』上・下(岩波書店、1940)
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